『 主の慰めを受けて、感謝の歌声が響く 』

2023年4月23日(日)
イザヤ51:1-6(教会総会当日)

今日は教会総会の日。2023年度の年間標語・聖句によりメッセージを語りたい。

それぞれの年間標語・聖句にはその時々のトレンドや意識していたことが反映されている。2014年、私が赴任したばかりの標語は「毎週・笑顔で・バッチリ・信仰」。各単語の頭文字を拾うと「ま・え・ば・し」になるダジャレだが、そこには教会がみんなの笑顔を生み出す場所でありたいという願いがある。

翌年からは「前に向かって橋を架けよう」(2015,2016)、「前をはしるイエスに従う」(2017)と、ダジャレシリーズが続く。これらの標語には、2016年に迎えた創立130周年のことも反映されている。

「キリストに向かって成長する」(2018,2019) この時期は教会の役割分担の見直しに取り組んだ。役員定数を減らすにあたって、役員に集中していた役割を、それ以外の教会員に振り分けた(例えば礼拝司会)。高齢化する教会の現実の中で何とか豊かな交わりを生み出したいという願いがあった。

しかし2019年の年度末、突然沸き起こったコロナ感染により、教会の活動は大きな修正を余儀なくされた。「交わりを豊かに」という課題は吹き飛び、礼拝を「守る」ということに専念せざるを得なかった。

そんな中定められた標語は「また笑える日が来ると信じて」(2020,2021)「共に夢見て、共に笑おう」(2022)。「いつか笑える日が来る」そのことをとにかく繰り返した。根拠のない自信?ハッタリ?いいえ、それは旧約の預言者たちやイエスが教えてくれたことである。神さまは私たちの苦しみや悲しみを、笑いに変えて下さる方である、と。

苦難の日々の中にも恵みも与えられた。ひとつはオンライン礼拝。礼拝出席を控える若い世代の人々を想定して始めたが、高齢の方も見るようになった。おかげで「離れていても一緒に礼拝を守っている」という実感を得ることができた。

もう一つはレインボープロジェクト。これからの時代に向けて「多様性を大切にする教会」という目標を抱き、それにふさわしい設備を整えることができた。

そうして迎えた2023年度。コロナをめぐる状況もようやく明るい兆しが見えてきた。そんな中で提案するのが「主の慰めを受けて、感謝の歌声が響く」。聖句はイザヤ書51:6、これはバビロン捕囚後期から解放後に活躍した第2イザヤの言葉である。捕囚から解放されたとはいえ、心も魂も疲れ果て気力を失っていた人々に向かって、イザヤはこの言葉を語る。

いま「コロナ後」を迎えようとしている私たちの状況は、バビロン捕囚直後のイスラエルと重なるものかも知れない。あるいは太平洋戦争の敗戦により、茫然自失の思いの中で戦後を迎えた日本の状況とも。人々にとって苦難が過ぎても気力を取り戻すにはしばらくの時間が必要だっただろう。しかしそれでも神さまは働きかけ、慰めを与えて下さった。そして人々は再び歩み出した。

コロナで廃墟のようになったような私たちの心にも、必ず主の慰めが与えられる…そう信じて、感謝の歌声を響かせ、新しい歩みに向かおう。

2023-04-23 | Posted in | Comments Closed