2019年06月のメッセージ
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2019年06月30日
2019年6月30日(日)
申命記8:11-20,使徒言行録4:5-12私たちはいろんなものに「こだわり」を持つ。「ここのパンが一番ウマい」「ここのうどんは日本一だ!」それは多くの場合、客観的な比較の上での評価ではない。極めて主観的なこと、言い換えれば「思い込み」である。
私は、信仰とはこの「こだわり」の世界、「思い込み」の世界ではないかと思っている。世には数々の宗教があり、それぞれの語り口の中で「救い」を説いている。どれが確かなもので、どれがまやかしか、ということは一概には言えない。どんなに他人には荒唐無稽に見えても、そこに救いを受ける人がいるならば、何らかの真実があると言えるのではないか。
キリスト教では「イエスのほかに救いなし」ということがよく言われる。それが「私にとっては」というスタンスで語られる上では、信仰の世界のある大切な一面の真理を表している。しかしそれが「万人に対してもそうであるべきだ」と語るならば、傲慢のそしりを免れないであろう。 続きを読む »
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2019年06月23日
2019年6月23日(日)
サムエル記下7:1-7,使徒言行録2:37-47今日は二つの聖書の箇所それぞれから、二つのメッセージを受けとめたい。旧約は、ダビデが王に即位して間もない頃のエピソードを伝える箇所だ。王宮に神の箱が運び入れられる時に、激しく踊って喜びを表したダビデ。しかしその神の箱は、これまでのように幕屋に置かれる。
ダビデは「私がレバノン杉の家に住んでいるのに、神の住まいが簡易な天幕でよいのだろうか、神殿を建てた方が良いのではないか」と考えた。すると神は、「私がレバノン杉の住まいを求めたことがあったか!」と応じられた。神さまは人間の作った建物にはお住まいにならない。たとえそれがどんな豪勢なものであったとしても。風のように自由に働かれる神は、テント暮らしがお好きなのかも知れない。
しかし神はダビデの思いをソデにされた訳でもない。ダビデに語りかけられる言葉がある。「あなたがどこに行こうとも、わたしはあなたと共にいる」(7:9)、それだけでダビデには十分だったのだ。
新約はペンテコステ直後の弟子たちの宣教の場面。イエスを十字架で処刑した人々に向かって、「あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神はよみがえらせ救い主として下さった」と語るペトロ。その鬼気迫る説教に促されて、次々に洗礼を受け仲間になったという。その数は、その日だけで3000人と記される。
前橋教会133年の歩みの中で、洗礼を受けられた人の数は総数で1804人である。一世紀以上かかって、ペトロのひとり分にも満たない。それはある意味で集団熱狂のような、異様な光景とも言えよう。しかし多くの人が心を動かす出来事があったことは確かなようだ。
人々の心を動かしたものとは何か?ペトロの説教に迫力があったのかも知れない。あるいは人々は内心、イエスを十字架にかけたことを後悔し、反省していたのかも知れない。何があったのかは分からないが、聖書はそこに聖霊の導きを見る。
そのようにして仲間に加えられた人の間で、共同生活が始まった。それはみんなが財産を持ち寄り必要に応じて分け合うという、「原始共産制」と呼ばれるライフスタイルだった。「共産主義」と言うと旧ソ連や北朝鮮などの独裁・強権国家、恐怖政治を想像してマイナスのイメージを抱くが、本来は労働と分配を平等に行う「ユートピア」の考え方である。それが誰かの指示によってではなく、自然発生的に生まれたというのだ。「互いに愛し合いなさい」「受けるより与える方が幸いである」というイエスの教えが、それを生み出したのだ。
ペトロは「(神の救い・恵みは)主が招いて下さる者ならだれにでも与えられる」と語る。たとえそれがイエスを十字架に架けた人々であったとしても。人間はそういった類の事柄に対して、境界線を引きたがる。しかし神の恵みはそれを軽々と超えられる。
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2019年06月16日
2019年6月16日(日)
出エジプト19:3-8a, 使徒言行録2:22-36私はあまり奇抜な説教題はつけない方なのだが、今回の題はいろいろと物議を醸しそうだ。「酔って一線を超える」という題を見て、どんな光景を想像されるだろうか?酒に酔ってしでかした様々な過ちの記憶が、このタイトルによって甦るかも知れない。
上司や恩師とケンカをしてしまった… つい本音が出てしまい仲間と気まずくなった… 男と女の超えてはならない一線を超えてしまった… 。言い訳をしておくと、それは「あなた」のイメージであって、「わたし」のイメージではない。私がこの題をつけたのは、まさに「酔って一線を超えてしまった人々」の話をしようと思ってのことである。
ペンテコステ前夜の弟子たちの内面については、先週、先々週の礼拝でも話してきた。 続きを読む »
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2019年06月09日
2019年6月9日(日) ペンテコステ礼拝
創世記11:1-9, 使徒言行録2:1-115/30-31に行われた関東教区総会で、議事運営委員長(議運)をつとめた。議運の役目の勘所は、議事が混乱した時に道筋をつけ、審議を導くところにある。昨年の総会は冒頭から混乱し、大変だった。しかし今年はさしたる混乱もなく、予定の時間より早く総会が終わった。今年は「無風」の総会であった。議運としては楽だったが、反面「これでいいのか」と思った。激烈な議論がない、ということは、相互理解が進まない、深まらないことでもあると思うからだ。
一方、4/28に行われた前橋教会の総会では、聖餐をめぐる議案(呼び方を「聖餐」から「主の食卓」に変更)のところで様々な意見が出された。決して一色ではない、いろんな立場からの意見が表明された。結局議案は取り下げられたが、大変よかったと思っている。みんな少しずつ違う意見を持っている… そのことを表明し合い聞き合うことこそ「共に生きる」ことだ。教会総会には「風が吹いた」のだと思う。
今日はペンテコステ。イエスの昇天により再び師を失った不安のなかにあった弟子たちに、ふしぎな風が吹いて、聖霊に満たされて、勇気を与えられた弟子たちがイエス・キリストの福音を宣べ伝え始めた日だ。 続きを読む »
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2019年06月02日
2019年6月2日(日)
マタイによる福音書28:16-20よみがえったイエス・キリストと、弟子たちが過ごしたのは40日間。その後、イエスは天に昇られた。弟子たちのもとを離れられたのである。再び遭遇した「師の不在」という状況の中を、弟子たちはどのような心境で歩んで行ったのだろうか。
譬えて見れば、それは迷子になった幼な子である。親と離れた不安でべそをかいていたところに、親が探し当てて来てくれた。しかし安心したのも束の間、親は家までの道のりを教えた後、「じゃ、私は先に帰るから、自分で帰っておいでね」とタクシーに乗ってさっさと行ってしまった…。そんな状況だろうか。
多くの人にはそのような時が訪れる。それまでは誰かが共にいて道を示し手を引いてくれた。今まではその導きに頼っていればよかった。しかしここからは、自分の力と心と判断で歩んで行かねばならない。その道のりを経て、人は自立へと導かれてゆく。
今日の箇所は、そんな不安な思いを抱えた弟子たちに向けての、イエスの最後の命令とはなむけの言葉である。 続きを読む »
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