2023年02月のメッセージ
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2023年02月26日
『 内にひそむ罪の罠 』川上 盾 牧師
2023年2月26日(レント第一主日)
ルカ4:1-13(2月26日)今年もレント(受難節)に入った。イースターまでの日曜日を除く40日間、自らの罪を見つめて過ごす「克己・修養の時」とされている。
「人はみな神の前に罪人である」。それがキリスト教・ユダヤ教の人間理解、いわゆる「原罪」の考え方だ。私は牧師の子どもとして育ったが、幼い頃この考え方が納得できなかった。よく用いられた「四色の絵本」の中で、「イエスさまが来るまでは人はみな『真っ黒』でした。」と言われるのに対して、「そんなん、真っ黒な人間なんかいるわけないやろ!」と反発していた。
しかし年を重ねるごとに、自分の中にある「黒い部分」を認めざるを得なくなる。思うに「真っ黒な人間」などいない。どんな悪人の心にも美しいものはあるはずだ。しかし同時に「真っ白な人間」もいない。白・黒・グレーが混ざり合っている…それが人間の現実ではないか。
そもそも「罪」とは何だろう?聖書の示す罪とは、法律に違反する「犯罪」のことだけではない。 続きを読む »
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2023年02月19日
2023年2月19日(日)
イザヤ41:8-16,ルカ9:10-17私は幼少期から自覚的には「自己決定・自己責任」という考えて生きてきた。そのせいだろうか、自分の中にどこか人を突き放すような「冷たさ」があることを感じる。でも、だからこそ逆に、あふれるほどの配慮を示す人に感銘を受けるのである。
今日の箇所(新約)は、イエスによる「五千人の給食」の奇跡物語。どのようにして五つのパンと二匹の魚で5000人の人々を満腹させられたのか…最も気になるところだが、今日はその点には触れない。注目したいのは、イエスの群衆への関わり方、そして弟子たちへの関わり方についてである。
厳しい宣教の業の合間、必要な休息を得ようとして人里離れた所にこられたイエスと弟子たち。ところが群衆は目ざとく彼らを見つけ、その後を追ってきた。仕方ないのでイエスは彼らと向き合い、福音を語り、病気を癒された。
夕刻になったので弟子たちは群衆を解散させ、銘々で食べ物を調達させようとした。しかしイエスは「この人たちの世話をしなさい」と言われた。弟子たちは「勝手についてきたのだから自己責任・自己調達だ」と群衆を突き放そうとした。しかしイエスは群衆を見捨てようとはしなかった。 続きを読む »
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2023年02月12日
2023年2月12日(日)
箴言3:1-8,ルカ8:4-8沢知恵さん著『うたに刻まれたハンセン病隔離の歴史』というブックレットを読んだ。差別・偏見を受け、「民族浄化」との国策により強制隔離をされた人々。彼らが入所する園歌の歌詞にその国策のスローガン「民族浄化」という言葉を含むものがあるという。
沢さんはその屈辱的な歌詞を入所者が懐かしそうに歌うのを見て、違和感を感じながらも、そのようにしてアイデンティティを歪めなければ生きて来れなかった人の思いを受けとめ、寄り添いながら筆を進めておられる。重荷を負う人と共に歩むとき、本当に寄り添うためには「自分の信じる正しさ」を留保することも大切なことだと思わされた。
旧約・ヨブ記は、サタンの策略によってひどい皮膚病による苦しみを受けたヨブが、神に抗議する物語である。ヨブは当初は神を恨まなかったが、友人たちの来訪により態度を豹変する。「あなたの苦しみはよく分かるよ」といった過剰な共感、さらには「この苦しみの原因は、あなた自身の気付かぬ罪への報いかも知れない」という説得が、ヨブの怒りに火をつけたのだろう。
重荷を負う人の痛み・苦しみは、本人以外にはなかなか分からない。分かったふりをしてはいけない。ましてや説得・指導などは得策ではない。私たちにできることは「寄り添うこと」だけである。 続きを読む »
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2023年02月05日
2023年2月5日(日)
箴言3:1-8,ルカ8:4-8今日の新約は、イエスの「4つの種のたとえ」である。道端、石地、茨の地に落ちた種は実を結ばなかったが、「よい地」にまかれた種は成長し、豊かな実を結んだ。直後の解説によれば、種とは神の言葉、道端は鳥(悪魔)に奪い去られる状況、石地はしばらく信じても根がないのでなくなってしまう状況、茨の地はしばらく成長しても、世の思いわずらいや欲望などで実らなかった状況を表している。
では「よい地」とは何か。これまで私は、会津で出会ったクリスチャン農家(無農薬・有機栽培)の方々の教えに基づいて、「それはよく耕された土地だ」と語り続けてきた。人生のいろんな出来事を「こやし」にして、深く耕された土地こそが神の言葉を豊かに宿らせるのだ、と。
ところが先日の新聞の連載記事を見て驚いた。「不耕起栽培」=耕さない農業についての特集である。 続きを読む »
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