2019年10月13日(日) 『弦』による音楽礼拝
ミカ書4:3,ローマ12:15-18
今日はヴァイオリンとギターの演奏によりすべての讃美歌や前・後奏を行う礼拝です。ヴァイオリン担当はディビッドさん。「ダビデ」から取られた名前です。ダビデは勇壮な武勇伝と共に、琴の名手であったと言われています。詩編のほどんどの作品は、ダビデが琴を奏でて作ったものとされています(実際はいろいろあるようですが…)
いつもの礼拝で使われているオルガンは、笛の集合体です。これに対して、ダビデの奏でた竪琴、今日の礼拝で用いるヴァイオリンやギター、それはいずれも弦を用いた楽器です。笛と弦と太鼓、それらが古代より楽器の三要素とされてきました。このうち太鼓がもっぱらリズムを担当するのの対し、笛と弦はしらべ、即ちメロディを担当してきました。
笛は風の音です。目に見えない風の中に宿るエネルギーを音に変えて演奏するのです。これに対して弦楽器の音の源になっているのは細い糸。もともとは弓のつるであったと言われています。弓、それは狩りや戦いの道具です。
弓の開発によって人類の狩猟・戦闘能力は格段の向上をはたしました。人の手の届く範囲、足で動き回れる範囲を超えて、遠くの獲物や敵を倒すことができるからです。火薬・鉄砲の発明までの間、弓は人類最強のウェポンでした。
しかしその戦いや狩りで弓を使っていたある人が気付きます。弓を射る時に「ブンッ」と音がする。その音を元に楽器にしていく人が現れました。こうして戦いの道具であった弓から、平和への思いを奏でる楽器が生まれていったのです。
「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とせよ」。国連の本部事務所にも記されるミカ書やイザヤ書の言葉です。命を殺戮する戦いの道具を、いのちを生み出す農機具に作り直せ。それが神の望まれる究極の平和である…そんなメッセージが込められています。私たちは今日、それに付け加えて、「弓をつくりかえて琴にせよ」というメッセージも受けとめたいと思います。
「すべての武器を楽器に!」。沖縄出身のミュージシャン・喜納昌吉さんの言葉です。太平洋戦争末期に20万人もの犠牲者を出した沖縄戦。その戦争が終わり、荒廃した沖縄で人々がまずしたこと。それは米軍兵士の食料に使われた空き缶、簡易ベッドの支柱の木、そしてパラシュートの紐を使い、カンカラ三線という楽器を作ったのです。戦争の道具を楽器に変えて歌を歌った。そこに戦後の沖縄の歩みが始まりました。
「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣き、すべての人と平和に暮らしなさい。」このパウロの言葉を受けて、剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鋤とし、弓をつくりかえて琴として、平和を求めて歌いながら生きる道を歩みましょう。
(『 弦 』による音楽礼拝)