2023年12月17日(日) CS合同礼拝
ルカによる福音書2:8-14
世の人々を救う救い主、イエス・キリストの誕生という「よろこびの知らせ」。その知らせを最初に聞いたのは、国の王さまや大臣でもなく、立派な学者やお金持ちでもありませんでした。それは野宿で羊の群れの番をしていた羊飼いたちでした。神さまの救いは、この世の力や富を持つ者ではなく、弱く小さな人々にこそ与えられるものなのです。
『ひつじかいのふえ』という絵本を読みます。
昔、白いひげの羊飼いがいました。孫に向かって「あの方はきっとおいでになる」というのが口ぐせでした。仲間の羊飼いは笑います。「もう何年も前からそう言ってるけど、来ないじゃないか」。羊飼いは孫が疑いの心を持つことを心配していました。
「おじいちゃん、『あの方』は金の冠をかぶってる?銀の刀を持ってる?赤いマントを着てる?」孫の問いに、羊飼いは「うーむ、そうだね」と答えました。孫はその答えに満足し、金冠・銀刀・赤いマントの力強い救い主を想像するのでした。
孫の少年は笛が得意でした。「あの方」が来られたら吹くように練習していました。「お前は笛を吹いてくれるかい?王さまが冠や刀やマントを持っていなくても…」「いやだ!」少年は答えました。「そんな王さまなんてだめだ!金と銀をいっぱい持ってる王さまでなくっちゃ!」▼羊飼いは涙を流しました。「どうして孫にそんなことを信じさせてしまったのだろう。『あの方』は金や銀やマントがなくても、どんな王さまよりも尊いはず…。この子にどうやってそれをわからせたらいいだろう…」。
ある夜、ベツレヘムの夜空に不思議な星が輝きました。天使たちが現れ「恐れるな、きょうあなたがたのために救い主がお生まれになった」と告げました。羊飼いたちは星の光の方へ走りました。少年は誰よりも早く、笛を握りしめ走りました。
一番先に着いた少年は生まれたばかりの赤ちゃんを見ました。布にくるまれ飼い葉おけの中に寝かされていました。「こんなの違う!」少年はがっかりして外へ出ていきました。すると赤ちゃんの泣き声が聞こえてきます。逃れるように、もっと遠くへ…。でも泣き声は追いかけてきて、少年の心をゆさぶりました。そしてとうとう連れ戻したのです。
小屋では赤ちゃんが泣いていました。誰があやしても泣きやみません。少年は笛を取り出して吹き始めました。するとしゃくりあげる声が止まり、赤ちゃんは泣きやみました。そして少年を見てにっこりしました。少年は胸がいっぱいになりました。この赤ちゃんこそ「あの方」!少年の心を満たしてくれることがよくわかったのです。(おしまい)
私たちは強そうで豪華なものにあこがれます。でも神さまの救いの力とは、泣いている子どものもとに真っ先に駆けつけ、そして笑顔に変えてくれるものなのです。そんな力を与えるためにイエスさまはこの世に来て下さったのです。