10月26日 (こどもとおとなの合同礼拝)
ルカによる福音書12:32-34
教会を作ろうとしたふたりの人のお話です。ひとりはキルヘンさん。まじめでちょっと「石頭」なところはあったけど、物知りのおじさんです。もうひとりはチャーチくん、まだ駆け出しで経験は少ないけど、楽しいことや歌うことが大好きな若者です。
二人は教会の長老さんから、新しい教会を作るミッション(使命)を与えられました。長老さんは「何をするにもお金がいるだろう。二人にはこの宝を授けよう」と言って、きれいな真珠を手渡してくれました。二人はその宝を持って、それぞれ新しい教会を作る旅へと出かけていきました。
キルヘンさんはある街に着くと、まずは教会を建てる土地を探しました。小高い丘の上の土地を見つけ、ここに教会を建てようと決めました。真珠を売ってお金に変えて、土地の代金を払い、残りのお金は材料(石やレンガ)を買うためにとっておきました。近くの人が「いったい何を作るんだろう?」と訪ねてきましたが、「今は忙しいからあとにしておくれ。教会の建物が建ったら、その時いらっしゃい。」と追い返しました。お腹を空かせた人が助けを求めに来ましたが、「大事な材料を買うんでね。」と断りました。そうして10年後、立派な教会の建物が出来上がりました。
一方のチャーチくん。湖の近くの街で教会を作ることにしました。でも何から始めていいか分かりません。「とにかくまずおいしいものでも食べよう。」真珠をお金に変えて、それでレストランに出かけました。食事を終えて歌をうたってたら、「いいねぇ、こっちに来てもっと歌っておくれよ」と街の人に言われました。そうやって、街に出かけては、少しずつ友だちを増やしていきました。お腹を空かせた人には自分のお金の中から食べ物を買ってあげました。
10年が経ちました。チャーチくんは仲間は増えたけど教会の建物はできないまま、お金を全部使ってしまいました。困っていたチャーチくんに街の人が言いました。「建物がなくても、山の野原で集まればいい。湖に船を浮かばせて、そこから岸辺の人に語りかければいい。雨がふったらうちの家を貸してやるよ」。チャーチくんの元にはイエスさまのお話を聞きにたくさんの人が集まるようになりました。
キルヘンさんは一生懸命努力して、立派な教会の建物を建てました。でも集まる人がいません。それでキルヘンさんは気付きました。どんなに立派な建物を建てても、そこに集まる人がいなければ「教会」にはならない、ということを。
「教会」とは建物のことではありません。みんなが集まる建物も大事ですが、大切にしなければならないのは建物だけではありません。いちばん大切なものはイエスさまの教えを大切に聞くために集められた人たち。それが「教会」なのです。聖書が記されたギリシャ語で教会のことを「エクレシア」といいます。それは「呼び集められた人たち」という意味なのです。
目に見える建物や財産ではなく、人の集まりを大切にして特に弱い立場の人を支える。そうすることによって「天に宝を積むことができる。」とイエスさまは教えられました。教会とは、そんな「天に宝を積む」人たちの集まりのことなのです。