2025年4月27日(日) 教会総会の日
イザヤ52:7-10,ローマ10:8b-17
教会総会の日は、その年の年間聖句と年間標語によるメッセージ。今年の標語は昨年と同じである。「コロナ疲れ」が残る中で、みんなで一緒に伝道に取り組もう!という思いを込めている。
本来私は、教会がまるで企業の営業活動のように伝道に取り組むことに対して、批判的だった。「伝道しない教会は滅びる」などと言われることがあるが、現在教勢低下の苦境を迎えている教会すべてが、伝道しなかったわけではないだろう。はたして伝道とは、滅びを免れるため、教会の維持・発展のために行なわれるものなのか。
教勢を伸ばしている教会にしても、人を呼び込む計画を立てそれを実行すれば、人数は増え、財政も拡大するかも知れない。しかしそれは「結果」であって「目的」ではない。目的と結果を履き違えてはいけないと思うのだ。人数や財政を増やすことを目的にして取り組むのは「伝道」ではなく「営業」だ。
では伝道の目的とは何か。それはイエス・キリストの言葉や生涯と出会ったことの「喜び」を伝えることだ。伝道とは「道を伝える」と書く。イエス・キリストを信じて歩む道のり、その豊かさ・すばらしさを伝えることが「伝道」だと思うのだ。
それは今の言葉で言えば“推し活”である。イエス・キリストによって与えられた「よい知らせ(福音)」、そのことを確認し確信するところから伝道に取り組みたい。手がかりとなる二つの言葉をメッセージとして分かち合いたい。
一つ目は「あなたはあなたであっていい」。この世界(宇宙)の中で、あなたは他の誰にも代えることのできない大切なひとりである. . .「私の目にあなたは値高く、貴く、私はあなたを愛している」(イザヤ43:4)そんな風に私たちを見つめていて下さるのが、私たちの信じる神さまであり、イエス・キリストだ。
その眼差しの下で、他人との比較や優劣で自分を考えなくてよい。掛け替えのないあなたを見つめて下さる神さまに全てを委ねて生きればいい. . .。その喜びこそ、私たちにとっての「よい知らせ(福音)」、それは心に温かく響くミルクのような言葉である。
二つ目は「あなたは本当にそれでいいのか?」。掛け替えのないあなたを見つめてくれるイエスは、一方ではいと小さき人を救うために十字架への道を歩まれた方でもある。小さき一人が軽んじられ虐げられていても、つい見て見ぬふりをして通り過ぎようとしてしまう私たち. . .。そんな姿に「あなたはそれでいいのか?」と問いかけられるのである。
こちらの言葉は、耳に痛い言葉、心に厳しく響く言葉である。しかし私たちの心が健康に育まれるためには必要な、苦い青汁のような言葉である。「あなたはあなたのままでいい」「でも、あなたは本当にそれでいいのか?」この二つの言葉によって健全な人格が育まれる. . .それが私たちにとっての福音だ。
来年私たちの教会は創立140周年を迎える。この街・この国に「よい知らせ」を伝える伝道の働きに、喜びを抱いて向かってゆこう。